糖尿病を専門職とするコメデイカルの看護士さん、栄養士さん、検査技師さん、薬剤師さんの団体は糖尿病療養指導士という資格を作って国家資格に昇格しようと頑張っています。そこを受験しようとされるスタッフは年に1回の試験を受けます。その方たちへの問題集を作成していたのですが、あまりに内容が変更になりすぎてとうとう問題集の発刊は没になりそうです。
私が担当した項目が最も変更が多いところでせっかく作ったのにボツになりそうですのでせっかくですから興味のある方は解いてみませんか。問題と正解、皮肉を込めた解説まであります。
問題の内容は
熊本宣言 コントロールの目標の変更
妊娠糖尿病の定義の変更
HbA1cの国際基準への変更
食品交換表改訂
腎症の新しい分類
インクレチン関連薬 (GLP1受容体作動薬)
インクレチン関連薬(DPP4阻害薬)
SGLT2阻害薬とすべてホットな話題ばかりです。毎週2題ずつ掲載して11月の糖尿病月間をお祝いしようと思います。
熊本宣言
2013年に第56回日本糖尿病学会年次学術集会で糖尿病のコントロール目標を提案しました。正しいものを選びなさい。
a) 血糖正常化を目指す血糖の平均値を表すHbA1cの目標は7%未満と提案した
b) 合併症予防のための目標は8%未満とした
c) 治療強化が困難な際の目標値を9%未満とした
d) 合併症予防のための目標値に対応する血糖値として、空腹時血糖値130mg/dl未満、食後2時間血糖値180mg/dl未満をおおよその目安とした
e) 妊婦を含めた成人の目安とした。
正解 d)
解説
熊本宣言で血糖コントロールの目標は血糖正常化を目指す血糖の平均値を表すHbA1cの目標は6%未満、合併症予防のための目標は7.0%未満、治療強化が困難な際の目標値を8%未満とした。
また、合併症予防のための目標値に対応する血糖値として、空腹時血糖値130mg/dl未満、食後2時間血糖値180mg/dl未満をおおよその目安とした。これは成人の目安とし、妊婦の場合は除くものとした。
妊娠・糖尿病の診断基準
妊婦糖尿病の診断基準は2010年に診断基準が改定されました。正しいものを選びなさい。
a)妊娠糖尿病は妊娠中に発見された糖尿病である
b)妊娠糖尿病は、妊娠前に発症した糖尿病も含める
c)妊娠糖尿病とは“妊娠中にはじめて発見されたまたは発症した糖尿病に至っていない糖代謝異常”のことを言う
d)妊娠糖尿病は75gOGTT, HbA1c値で判定する。
e)妊娠糖尿病と明らかな糖尿病の判定基準と同じである
正解 c)
解説
妊娠糖尿病は従来、妊娠前に発症した糖尿病も含んでいたが、今回公表した改定案では、妊娠糖尿病を「妊娠中にはじめて発見または発症した糖尿病にいたっていない糖代謝異常である。あきらかな糖尿病は含めない」と定義し、一般的な糖尿病と区別した。診断基準などを変更することで、軽い高血糖の妊婦にも治療を促すことにした。
1.妊娠糖尿病(GDM)75gOGTTにおいて次の基準の1点以上を満たした場合に診断する。
1.空腹時血糖値 ≧92mg/dL(5.1mmol/l)
2.1時間値 ≧180mg/dL(10.0mmol/l)
3.2時間値 ≧153mg/dL(8.5mmol/l)
2.あきらかな糖尿病 overt diabetes
以下のいずれかを満たした場合に診断する。
1.空腹時血糖値≧126mg/dL
2.HbA1C≧6.1%(DCCT standardized≧6.5%)
3.随時血糖値>200mg/dL
*随時血糖値>200mg/dLの時は、空腹時血糖かHbA1Cで確認
4.糖尿病網膜症が存在する場合